彼は腰の手術のために長く部屋を空けていたんだけど、私はその間、誰も止める人が居ないから部屋を散らかし放題。で、彼が急に退院して帰ってきたと思ったら、今日、彼のお母さんがやってくると言い出したのだ。
慌てて敷きっぱなしの布団やら台所のゴミやらを片付けていると、何故か水道工事の人や大家さんなどもやってきて、まさにてんやわんやな状態になった。
水道工事の人がお風呂に向かうと、水道から水が流れっぱなしで、お風呂から水が溢れている。(何故かお風呂が2個あって、片方からは入浴剤の匂いがした。)
「ちょっと、あんたシャワーつかったの?」と問いただしたら、彼は、「ごめん使ったわ。」と、笑いながら言った。
水道屋が帰り、私たちはまた部屋を片付けていた。彼が「なんか食べる物無いの?」って言い出したので、「最近太ったからお菓子とかは買わないんだよね。」って答えたら、「そうだね。」って答えやがった。私は「肯定するなよ。」と、むっとしつつも、ジーパンの上に乗り上げている贅肉に手をやり、すこし赤くなる。そこで、2人とも上半身裸でいることにはじめて気づく。恥ずかしさなどが微塵も無いことに違和感を覚えつつ、台所の生ゴミなどを片付けていった。
やがて彼のお母さんがやってきて、「アンケートに答えてほしかったの。」と、紙とペンを手に、おもむろに息子に質問をはじめた。「母親が部屋に来て一緒に暮らそうって言われたらどう思う?」っていうような質問だったと思う。
私はその質問の裏を読むことも、彼の答えを聞くこともせず、片づけを続行しながら、『私だったら普通に一緒に暮らしたいかなぁ。』と、ぼんやり考えていた。
ちなみに彼は本当は経済学部の学生なのだけれど、夢の中では彼も私と同じ大学に通う美大生で、何故か一緒に合作のような油絵を描いていた。
彼のお母さんは私たちが部屋で一緒に描いている絵を見て、「あら、素敵ね、これは誰の・・卒業制作かしら?」と聞いたので、私は、「それは卒業制作とは別物です。2人で何か合作みたいなものを描こうってことになって、上半分は私が描いているんです。」と答えた。
その絵は実におそまつな構成で、抽象的に描かれた風景と、記号のような、キャラクターのような、よくわからないものが合わさっていた。
彼のお母さんが、「あなたはどちらかというと具象的な絵を描くのね。」と言ってきたので、「ええ、まぁその、具象と抽象の間らへんを・・」と、意味不明な受け答えをした。すると、どこから湧いて出たのか、大学のクラスメイトに、「あいだねぇ・・。」と鼻で笑われた。
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